知 事 答 弁

 交付税の今後に対する概念をおっしゃいましたが、ご懸念はそのとおりであります。本来
の交付税の趣旨をわきまえないで、交付税攻撃、そこから交付税大幅削減に向けていろん
なことをやっている役所があるものですから、うかうかしていると本当にとんでもないことに
なるということで、私も同様の懸念を持っております。

 今回、具体的に言いますと、財務省の方から大変過った交付税攻撃が仕掛けられたわけ
であります。それが交付税使い回し論、国が決めたとおりに交付税を使っていないじゃない
か。それが例えば過疎町村の出産奨励補助金などに使われているではないかという話で、
それはむだだ。だから削減しようという話であります。それが7兆円にも8兆円にもなってい
る。

 これは私は二重の意味で間違っていると思います。1つは、たとえ結婚奨励金とか出産奨
励金がむだ遣いだと仮にしたとして、決してそんなことはないのですけれども、仮にそうだと
したとしても、そんなものを集めても7兆円や8兆円になるはずがないのです。ですから、本
当にささいなことをとらまえて大げさに言う、針小棒大ということで、これは誤りであります。

 もう1つは、交付税というのは使い道が決まっていないのです。交付税は税の補完であり
ますから、そもそも国が使い道を指定するとか、その使い方は間違っているよというような
代物ではないわけです。財務省の官僚の人は多分補助金と同じ感覚でいるのだろうと思い
ますから、交付税に対する無理解であります。

 もちろん犯罪につながることに使うとかそういうことはもってのほかでありますから、それ
は交付税であっても何であってもそんなものはいけませんけれども、交付税というのは、そ
れぞれの自治体の政策判断で使ってもいいわけであります。それを使い回しをしているとか
間違っていると言うのは、交付税の認識がないということで、間違いであります。

 こういう過ちを正す必要があるわけで、啓蒙しなければいけない。あえて啓発ではなくて
啓蒙しなければいけないのです、財務省の皆さん方を。

 私は感服しましたのは、つい最近でありますけれども、「大蔵週報」という、雑誌でもない
ですけれども、毎週出るのがありますね。あれに、交付税は本来使途は自由なのだ。それ
を財務官僚や国がああでもないこうでもないと言うのは間違いで無理解だという非常に立
派な論文が出ておりまして、著者は相沢英之さんであります。大蔵省の先輩でありますけれ
ども、私もじっくり読みましたけれども、相沢さんのこの論文というのは、実に交付税問題の
本質をとらまえて、現在行われていう交付税むだ遣い論の財務省がやっておりますプロパ
ガンダ、キャンペーンをきちっと批判をしたものであり、敬意を表しているところであります。

 世の中は、わかった人はちゃんとわかっているのでありますけれども、わかっていない方
も国会議員の中にも随分おられますので、我々としてもちゃんと働きかけていきたいと思い
ます。

 三位一体改革が現時点で明らかになっていないとは言うけども、説明責任をちゃんと果た
すべきではないかと言われるのですけれども、説明責任を果たすべきは我々ではなく政府・
与党なのです。政府・与党が決めたことがわけがわからないから、我々もわからないので
説明責任を果たせないのです。ですから、今回あえて申し上げますけれども、政府・与党な
のです。むしろ与党に言っていただいた方がいいのではないかと私は思います。




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